今、乳房温存術は大流行です。新聞などでも温存術が多い病院が乳がん治療にすぐれた病院のように書かれていることもあり、温存手術が素晴らしいと思っている患者さんもたくさんいらっしゃいます。最近は、術前化学療法でがんをかなり小さくすることができ、温存手術の適応が非常に広がりました。
しかし温存手術をなさった患者さんで、形成外科にいらっしゃる患者さんも決して少なくないのです。
温存手術を受ける前、手術の後の乳房の形は『そんなに変わらない』『ちょっと小さくなるだけ』『傷がつくだけ』『少し凹むだけ』というイメージを持っている方がほとんどです。実際に外科の先生にそう言われたという患者さんもいらっしゃいます。『ちょっと』『さほど』『少し』こんな曖昧な言葉では人間の想像は良いほうに考えてしまうのは当たり前かもしれません。
もう一つの問題は、温存して残した乳房に放射線をかけなければならないということです。放射線はやけどです。ましてやがん細胞が再発しないように焼かなければ意味がないのです。放射線をあてれば中の乳腺だけが焼けるわけではなく、表面の皮膚もやけどします。やけどした皮膚の下に、どんなに柔らかい人工乳房が入ろうと、筋肉や脂肪を入れようと、皮膚が硬ければ柔らかくは感じられません。
温存手術をされた方で、形成外科を訪れる患者さんはほとんどの方が『こんなになるとは思わなかった』『こんなはずではなかった』という言い方をされます。そして再建の難易度は非常に高くなります。
もちろん温存手術をしても、形も柔らかさも問題ない方もたくさんいらっしゃるでしょう。それなら本当にやってよかったと思える手術でしょう。
手術をした皆さんがそう感じていただかなければ、温存手術の意味がありません。
自分の場合はどうなるのか、なりそうなのか。もう一度担当医とよく相談し、理想を追わないように気をつけてください。
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