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すべての手術と同様に、乳房再建にも危険はあります。手術をする前にあなたは可能性のある合併症や副作用について、担当医と相談すべきです。
(1)炎症、感染
人工乳房でも、自家組織でも炎症、感染のリスクはあります。しかし、これが起こった場合は人工物のほうが深刻といえるでしょう。人工物の中でもエキスパンダーの挿入中に起こりやすいのが特徴です。
きっかけとしては、身体、精神への大きな負担、ストレス、疲労、感冒などです。ある日、エキスパンダーの入っているあたりが赤くなったり、熱感を持ったりしたら、まず自分が心身ともに疲れていないかを考えてください。そして局所を冷却して栄養と休養をとり、すぐに専門医の診察を受けてください。そうすればたいがいの場合は大事にいたらずに治ってしまいます。
しかし『家にある抗生剤を飲んだから大丈夫』とか、『近所の先生に点滴してもらったから』というのでは、逆に本当に感染を起こしたときの耐性菌を増やすことにもなりかねません。
どんなに仕事が忙しくても、どんなに専門医が遠方でも、それを第一に考えられないのであれば、最初から再建を始めてはいけないのです。
特に抗がん剤の点滴を受けている方や放射線照射を受けている方は注意が必要です。
本当に感染してしまうと人工物を取り出さない限り、感染は治まらないことが多いです。放っておくと、皮膚や大胸筋が融けてエキスパンダーが露出することもあります。しかし、万が一そうなったとしても、『人工物で二度と再建ができない』とは思わないでください。あなたさえ諦めなければ、数ヵ月後感染が治まってからもう一度トライすることはできるのです。
(2)被膜拘縮
異物である人工乳房の周囲には人工物に対する自己防衛反応として被膜(カプセル)が形成されます。そしてそれがさらに硬くなって締め付けられそうになることを被膜拘縮(カプセル・コントラクチャー)と呼ばれる問題がありました。
その被膜は野球ボールのように非常に硬く変形し、痛みが生じることもありました。そうなると手術によって被膜を解除することが必要になってきます。
最近の保険がきかないテクスチャー・タイプのエキスパンダーとソフトコヒーシブシリコンが用いられるようになってからは、被膜拘縮を起こす頻度は格段に減少しました。
しかし、下記のような条件の方にはまだまだ被膜拘縮は起こるのです。
▼組織伸展中に炎症、感染を起こしたことのある例
▼放射線照射例
▼エキスパンダーを入れている期間が短かった例
▼スムースタイプ(保険適応)のエキスパンダーを挿入していた例
▼術後の出血や浸出液の貯留が多かった例
▼喫煙例
(3)皮弁壊死
腹直筋皮弁を行った例では、皮弁が移植した皮膚や脂肪の血のめぐりが悪く、大きな領域が壊死したり、また一部の皮膚や脂肪が生着しないこともあります。脂肪が壊死に陥ると、黄色い液体となってタラタラ流れ出てこれが感染の原因となったり、逆にミイラ化して固まって乳がんの再発と間違えられたりすることもあります。
もともとの乳房が大きい場合や、定型的乳房切除術などを行っていてたくさんの組織を必要とするために、大きな皮弁を採取しようとする際に起こりやすいのですが、壊死しやすい要因としては
▼肥満
▼腹部の手術歴
▼喫煙
▼高血圧、糖尿病
といった患者さん側の原因と、デザイン、血管吻合の不具合など術者側の原因もあります。
よって医師の再建の経験を聞くことはとても大切なことです。
また、一期再建でエキスパンダーを入れた場合、乳房切除後の皮膚が血行障害を起こし、壊死になってエキスパンダーが露出することがあります。
特にがんがあった付近は、外科医ががん細胞を取り残さないように周辺の組織をたくさん取っています。結果として皮膚が非常に薄くなり、血行不全を起こしてしまうのです。
(4)非対称
人工乳房は現在も尚、輸入品に頼っている状態ですので、その中から健側と全く同じ大きさ、形のものを選び出すのは至難の技と言えます。よって全く対称的になるのはもともと不可能ですが、何らかの原因で再建を早めなければならなかったり、これ以上生理食塩水が注入できなかった場合、また被膜拘縮が起きてしまった場合は非対称になることが考えられます。
また、人工物であれ自家組織であれ、再建から日にちがたてばおのずと健側は年をとってゆき、それに対して再建側は変わらないため非対称が起こって、どちらかに何らかの手を入れる可能性もあるということは考えておかなければなりません。
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